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リストカットがバレた日

もう、傷跡はよく見ないと見えなくなった。

左腕と右脚の切り傷。

 

大学4年生の頃、私は妹と東京に住んでいた。

妹は家にいないことが多かった気がするけど。

いる時期は毎日晩御飯をつくってくれた。

私は大学4年生で週に一回のゼミだけ行けばよかったので、週4でインターンに行っていた。

帰ってくると妹が晩御飯をつくってくれていて、それがすごく美味しかった。

とても懐かしい思い出。

妹は今は結婚して子供もいる。

とても美しい家族を築いている。

 

私はその頃、リストカットをしていた。

あんまり記憶ないけど、その頃だった。

リストカットを始めたのは。

なんで私の心は傷だらけなのに、体はこんなに綺麗なのだろうと思った。

傷つけないといけないと思った。

最初はその時持っていたカッターナイフで腕を切ってみた。

痛かった。

あんまり切れなかった。

だからリスカ用のカッターナイフを買った。

そしたら綺麗に切れた。

左腕に一本の線が入り、徐々に血が溢れてくる。

正気じゃない人は痛くないと聞く。

私も痛くないときも確かにあったけど、ほとんど痛みを感じた。

痛かった。

でもやりたかった。

本当は身体中切りたかった。

顔も切ろうと思った。

でもビビリだったのでやめたのを覚えてる。

私はいつも冷静だったと思う。

冷静というか無気力で力があまりなかった。

衝動的に切ることはなかったと思う。

そうやって左腕には切り傷がいくつも入っていった。

深く切ると死ぬと知っていたので浅く切っていた。

切るとスッキリするような感覚があった。

自分を傷つけないと生きていくのが難しかった。

これでも生きたい気持ちがあったから。

死にたくても消えたくても本当は生きたいと思っていると知っていたんだと思う。

傷は誰にも見られないように注意した。

リスカする人がどのような目で見られるかよく知っていたつもり。

やばいやつだと思われる。

それはそう、正解だ。

 

ある日、左腕を妹に見られた。

「これは何?」と聞かれた。

「戦勝記録だよ☆」とおどけて答えた記憶がある。

バレると思ってなくて動揺して、その中でできる限り頭を働かせて答えた。

恥ずかしかった。

自分がいかに弱い人間かバレるのが。

妹は泣いていた。

泣くとは思わなかった。

そんな、泣くようなことかと思った。

びっくりした。

私は大切な人がリストカットをしていても泣かないと思う。

なんで泣いたんだろう、と未だに考えるときがある。

 

最近私は、自分が傷ついてもいいと思っていることに気づいた。

今更傷が一つや二つ増えたところで私はもう傷だらけなんだと。

それは正しいかもしれない。

でももう少し考えてみた。

私の心の奥底にある正直な気持ちは、「もっと愛されたい」ということに気づいた。

生きていく中で傷つくことは避けられない。

ちゃんと傷つくことも大事だとさえ思う。

でも私はもうあのとき以上に苦しい思いをすることも悲しい思いをすることも、傷つくことももうしなくていいのだと思った。

 

傷跡が消えていくのをさみしいと思うときがある。

今の私はあの頃の自分が耐えて耐えて乗り越えてこそあるものだから。

でももうそろそろ手放さなきゃ。

でもやっぱりまだ持っていたい。

まだそのときじゃないのかも。

手放せるときまでもう少し一緒にいたい。

でも、最近一つわかったことがある。

私はもっと明るい世界を見ていいんだってこと。

 

ありがとう

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